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7. 振動解析に利用する理論の解釈

7.2 FFT解析の応用と見方


7.2.3 ランニングスペクトル

 電気機械装置は、その本体に周期的な振動要因を持つことが多く、その振動を、同じく電気機械的に制御することも行われます。自動車エンジンの回転数を考えれば分かるように、どのような振動成分が発生するかは、ある程度予測が立ちます。構造物の場合、振動は外からの撹乱力による応答で観察される事象ですので、どのような振動成分が測定されるかを予測することができません。さらに、本体と二次部材とは関連を持つ場合と独立に振舞うこととが混ざりますので、それらを分離して取り出す測定と解析方法に工夫が必要です。スペクトル解析は、幾つかの振動成分を分離する目的に利用します。しかし、構造物の振動では、或る振動成分が、出たり出なかったりする不確かさ、つまり確率を持ちますので、単発的な測定では見つけられないことも起こります。また説明に苦しむような結果が得られることもあります。そこで、単発的なスペクトル図ではなく、注目時間をずらしながら複数のスペクトルを並べ、それらのグラフの時間的な変動を観測すると、散発的に観測される振動成分が、解析のゴミであるか、意義を持つかの判断ができます。このような図を、ランニングスペクトルと言うことにしました。図の表現方法には工夫が必要ですが、図1は地震波形をランニングスペクトルで表した例です。なお、連続スペクトルと言う用語は、線スペクトルの反義語として使います。ランニングスペクトルと同質の表現には、音声解析での声紋があります。なお、running mean と言う用語は移動平均のことです。

図1 ランニングスペクトル表現の一例(El CENTRO地震波を解析例としたもの)
2006.7 橋梁&都市PROJECT

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